|
第2ラウンド
|
|
|
第2ラウンドでは、5名の選手もやや落ち着きをとりもどしたようです。途中から小雨がパラつき始 |
|
|
めたのですが、飛行に影響を与えるほどのものではありません。ふと気がつくと、何時から鳴っていた |
|
|
のか協会の 鐘の音が聞こえます。日曜日のミサが始まるのです。日本のチャイム・サイレンのような |
|
|
「にせもの」ではなく、本物のマルチ・ベルの音が「ガラン、ガラン・・・」とゴリチアの野を渡って |
|
|
いきます。英語のRing the bellというイディオムが「優勝する」意味の修辞的表現であることと、今聞 |
|
|
こえる鐘が教会における祈りのためであるという事実が、何やら大きな力をもって迫ってくるような気がしました。 |
|
|
がしました。選手は黙々と飛ばし、観客は声援を送りました。吉岡選手の飛行が終わって、結果の発表 |
|
|
まで、しばしの沈黙がありました。その間の長さは、あの東京からローマまでの南回り便の旅のように |
|
|
、まどろいものでした。突如、吉岡選手優勝の発表があって一瞬信じられぬという色がかすめた次の瞬 |
|
|
間、選手もチーム・メンバーも応援団も、どっとばかりにわきました。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
表彰式
|
|
|
表彰式は、軍楽付の豪勢なものでした。まず、各国の参加選手全員が入場します。「第8回ラジオ・ |
|
|
コントロール世界選手権優勝者ツグタカ・ヨシオカ」の宣言とともに、表彰台上に立った彼の顔は輝い |
|
|
ていました。2位マット、3位プレットナーと台に上がり終わると軍楽隊による「君が代」の吹奏が始 |
|
|
まります。厳粛と歓喜が入り交じる中で、デプロマ(賞状)とメダルが贈呈されます。 |
|
|
つづいて、日本チーム優勝の表彰です。チーム・マネージャーの飯岡氏を先頭に、高橋、奥村両選手、 |
|
|
助手の吉岡(弟)、清水、柄沢の3氏も加わって表彰台の前に整列します。またもや拍手と歓声・・。 |
|
|
|
|
|
* * * * * * *
|
|
|
第8回RC世界選手権大会は、日本にとっても、世界にとっても、一つの時期を画しました。有名な |
|
|
選手と強い国が交代したのです。さらに、ジェネレーションとしても、一つの区切りをつけました。ラ |
|
|
ジオ・コントロールはもはや年輩の経済力のある人々の遊びであるよりも、若者のスポーツであること |
|
|
を示しました。選手の年齢層がそうさせるとともに、彼らの若さにあふれた飛行が人々を魅了したので |
|
|
す。この世界選手権大会 ― 日本にとっての栄光の競技会 ― は、また底抜けに楽しい国際親善のつど |
|
|
いでした。競技会の役員、選手、観客、バスの運転手、料理屋の主人・・・、善意に満ちた楽天気質の |
|
|
イタリア人は実に親切でした。 |
|
|
|
バスがゴリチアを去ろうとして、戦没者記念墓地のそばを通ったとき、あの歓声とどよめきと拍手が |
|
|
、風の間に間に聞こえたのは空耳だったのでしょうか。そうですわれわれは、あの善意に対して今一度 |
|
|
叫び返したいのです― 「ビバ・イタリア!グラーチア!」(イタリア万歳、ありがとう)と。 |
|
|
|
|
|
RC世界選手権大会 歴代チャンピオン |
|